結論から先に言うと、血液中の濃度の変化が膠質浸透圧(膠質浸透圧は血漿タンパク、とくにアルブミンによって決まる)の主な影響を与える要因は「アルブミン濃度の変動」です。アルブミンは血漿中で最も量が多く、膠質浸透圧の貢献度が大きいため、アルブミン濃度が低下すると膠質浸透圧が低下して、水分の組織外移動(浮腫の発生リスク)が高まります。逆にアルブミン以外の血中成分(血小板・赤血球・グルコース・ナトリウムイオンなど)は、膠質浸透圧の発生には直接的な寄与が小さいため、影響は限定的です。 背景となるポイント
- 膠質浸透圧とは、血管内でタンパク質が作る浸透圧のことで、水分を血管内に引き留める作用を担います。主な寄与要素はアルブミンです。
- アルブミン濃度が低下すると、血漿の膠質浸透圧が低下し、水分が組織側へ移動しやすくなり、浮腫が生じやすくなります。
- 反対に、血漿アルブミンが正常か高値であれば、膠質浸透圧は維持され、水分は血管内に留まりやすくなります。
- その他の血中成分(血小板、赤血球、グルコース、ナトリウムイオン)は膠質浸透圧の決定には主要な寄与をしませんが、それぞれの異常は別の生理・病態を引き起こす可能性があります。
実務的なポイント
- 浮腫の評価時には、アルブミン濃度(血漿アルブミンの値)を重要な指標として考慮します。
- アルブミン低下の背景には肝機能障害、栄養状態不良、腎疾患などがあり得ます。適切な原因別治療が必要です。
- 「膠質浸透圧を保つこと」が水分バランスの維持に直結するため、アルブミンを補充する膠質輸液などの治療判断は臨床状況に合わせて検討されます。
ご希望があれば、学習用の要点リストや問答形式の練習問題、具体的なケーススタディ(例えば肝疾患やネフローゼ症候群でのアルブミン変動と浮腫の関係)を作成します。
